妊婦の運動にウォーキングが最適な理由は?
妊婦にウォーキングが最適な理由は、運動初心者でも初めての妊娠の方でも気軽に始められるし、母体・胎児にもうれしい効果があるからです。
妊婦として胎児のため、自分の体のためにウォーキングしよう!と思っている人は、妊娠中のウォーキングのメリットや、知っておくべきこと、注意点などを把握しておきましょう。
妊婦が運動する3つのメリット
『妊婦はジッとしていて何もしてはいけない』などのイメージを持っていませんか?
担当の産婦人科医からジッとしているように指示を受けたなら、もちろん運動はウォーキングであってももってのほかです。
でもそうでないのなら自分の体調に合わせながら、適度な運動をすることで妊娠中を快適に過ごすことができます。
妊娠中の余計な体重増加を防ぐ
妊娠してからの体調の変化は妊婦さんによってさまざまですが、体は胎児を育て守るために約9ヶ月間常に変化し続けています。
胎児に栄養を送るため、母体の体力のためにエネルギーを体脂肪として貯めやすい状態になっています。
妊婦の推奨体重増加量は約10kg前後ですが、食事の量や質に気をつけていないと妊娠過程で「急に体重増加しすぎ」と医師から指摘されることもあります。
妊娠中の体重コントロールは食事の量を減らすのではなく、ウォーキングなどの運動で余分なカロリーを消費していくことによって、急激な体重増加を避けることができます。
妊娠後期に向けて体幹を鍛えてバランス感覚を整える
妊娠中期からお腹が大きくなってきて、今までなかったお腹の重みに慣れず歩きづらかったり、バランスがとりにくくなってつまづいたり、転倒の可能性も出てきます。
ウォーキングなどの運動をすることで体幹を鍛えることもでき、妊娠後期の大きくなったお腹を支えるためのバランス感覚を整えることができます。
- 妊娠による腰痛などの緩和
- 出産時に力みやすくなる
- 産後の回復が早くなる
妊娠中の鬱(うつ)を防ぐ
妊娠中は胎児を育てるために妊娠初期〜後期にかけて、めまぐるしくホルモンバランスが崩れます。
ホルモンバランスの変化が激しいことによって、精神的に気分のいい時と気分が落ちてしまって理由もなく不安になったり悲しくなったりしてしまうこともありますよね。
妊娠中にウォーキングをはじめとする適度な運動をすることで、『幸せホルモン』と呼ばれているセロトニンが分泌され鬱症状が改善されます。
妊娠の体調の変化によって夜中に起きたりして、十分な睡眠をとれない妊婦さんもいるかと思いますが、適度な運動をすることで体に疲労が残り、夜もぐっすり眠れるようになるでしょう。
妊娠に伴ううつ病の詳しい内容はこちらを参照ください。
妊娠・出産に伴ううつ病の症状と治療|厚生労働省
妊婦がウォーキングのために知っておくべき6つのこと
妊婦さんの運動にはウォーキングがオススメですが、ウォーキングを始める前に知っておくべきことがあります。
知っておくべきことは次の6つです。
- ウォーキングしてもいい時期
- フラットなウォーキングルート
- 歩きやすい服装と靴
- ウォーキングする時間
- 妊婦に適したウォーキングの方法
- 水分補給を忘れない
順に説明していきますね。
①ウォーキングしてもいい時期
妊娠中にウォーキングをしてはいけない時期などは特にありません。
妊娠初期は不安定期で「流産を避けるために大人しくしていたほうがいい」との意見もありますが、生理不順の女性だと妊娠したのに気づかない人もいて、気づいていない期間に普通に仕事をしたり、重いものを持ったりもしてるので、特段気にする必要もなさそうです。
早期に起こった流産の原因で最も多いのが赤ちゃん自体の染色体等の異常です。つまり、受精の瞬間に「流産の運命」が決まることがほとんどです。この場合、お母さんの妊娠初期の仕事や運動などが原因で流産することは、ほとんどないと言って良いでしょう。
引用元:公益社団法人 日本産科婦人科学会
日本産婦人科学会の見解からもわかるように、早期流産は染色体などの異常であり、女性側の問題ではない場合がほとんどです。
ウォーキングによってなにか悪い症状が起こることはほとんどないといってよいでしょう。
②フラットなウォーキングルート
ウォーキングをするのにどこを歩いたらいいのでしょう?
妊婦がウォーキングをするならなるべく平坦なルートを選んで歩きましょう。
山歩きやハイキングは足元が岩など不安定なため、転倒の恐れもあるので避けましょう。
木々が沢山ある公園や海岸沿い・河川敷などは歩いていても気持ちいいですよね。
妊娠中の体は赤ちゃんに栄養や酸素を送るのにフル稼働しています。
そんななか急な坂や階段の昇り降りは簡単に息切れをしてしまうくらい、ハードな運動になってしまいがちです。
ウォーキングは息が切れない程度に抑え、気持ちいいと思える運動量にしましょう。
③歩きやすい服装と靴
ハリウッドセレブが大きなお腹でハイヒールを履いていたりするのをソーシャルメディアで見かけたことがあるかもしれません。
履いたらダメ!ということはありませんが、運動のためにウォーキングをするならNGです。
妊婦さんが運動のためにウォーキングをするなら、履き慣れたスニーカーと季節に似合ったトップス、スポーツレギンスなどを履きましょう。
季節にもよりますが、お腹は常に冷やさないよう、運動するときもお腹をカバーできるスポーツレギンスを使用しましょう。
妊娠による腰痛に悩む妊婦さんは、骨盤ベルトで腰をサポートするとウォーキング中も普段の生活も楽になります。
④ウォーキングする時間
ウォーキングをするなら30分程度がおすすめですが、妊娠中は毎日30分歩くなどのハードな計画は立てないようにしましょう。
1日のうちに15分のウォーキングを2回でもいいし、1回だけでも◎。
大事なのは自分の体調・お腹(胎児)の状態を一番に考えることです。
日が落ちてからのウォーキングは、足元が暗いため、つまずいて転倒や事故の可能性も高くなります。
妊婦さんがウォーキングをするなら、日が出ていて空が明るい時間帯にしましょう。
できれば明るい時間帯でも1人きりではなく、旦那さん・家族・お友達と一緒にウォーキングをして体調が変化したときにもサポートしてくれる人がいるといいでしょう。
⑤妊婦に適したウォーキングの方法
妊娠中期・後期のお腹が大きくなっている時期は、お腹を支えるため姿勢が悪くなってしまい、腰痛・骨盤周りの痛みにも繋がります。
正しい姿勢に整えてからウォーキングをしましょう。
- 耳の真下に肩がくるように胸は張る
- 骨盤はまっすぐ立てる*
- 足の親指・小指・踵(かかと)の3点に体重を均等にのせる
*骨盤を前傾・後傾させてしまうと腰痛や骨盤の歪みに繋がります。
骨盤がまっすぐ立っているかどうかは、膣に1番力がはいる位置にあるかによって確認できます。
ウォーキングの際は骨盤から上はこの姿勢のポイントを意識して歩きましょう。
さらに詳しいウォーキングの仕方が知りたい方はこちらをご覧ください。

⑥水分補給を忘れない
妊娠中は胎児に栄養・酸素を送るため、また、体内の血液や子宮内の羊水のためにも、普段から水分をたっぷりとる必要があります。
体内では常に水分が内臓や筋肉、胎児にも送られています。
ウォーキングはランニングなどのように汗をたっぷりかくような運動ではありませんが、喉が渇いたなと思ったらいつでも水分補給できるように、水などを持ち歩いてでかけましょう。
妊婦がウォーキングする際の注意点
ウォーキングは妊婦に適した運動ですが、小さな命を抱えていることから、妊娠前の体以上に気をつける必要があります。
冒頭でも強調したように、まずはかかりつけの産婦人科医にウォーキングを運動として行ってもいいか確認しましょう。
産道が短い女性などは、ウォーキングであっても切迫早産などが起きてしまう場合もあります。
医者からの許可をもらって、実際にウォーキングを行う際には次のことに注意しましょう。
お腹が張ってきたら必ず休む
ウォーキングする際のスピードは息が切れない程度にゆっくり歩きましょう。
それでも運動している最中にお腹がキュッと張るような感覚や、もしかしたらキリッと痛みを感じるかもしれません。
お腹に違和感があるときはベンチに座って休みましょう。
ウォーキング中は常に自分の体、特にお腹(胎児)の状態に意識を向けて歩き、体調の変化に敏感になりましょう。
常に連絡のとれる状態にしておく
お腹に違和感を感じたら休むのはマストです。
ただ休んでも痛みがひどい・出血、妊娠時期によっては破水などの緊急事態も考えられます。
常に旦那さん・家族・病院と連絡がとれるとわかっていれば、気持ち的にも安心してウォーキングにでかけられます。
特に1人でウォーキングを行う場合は連絡がとれるようにスマホを持ってでかけましょう。
ウォーキングじゃ物足りないアクティブ妊婦には
妊娠4ヶ月以降の妊娠中期になってくると、つわりもおさまってきてエネルギーが戻ったように感じる妊婦さんもいるでしょう。
ウォーキングを実施してきたけど、もうちょっとアクティブに運動したいなと思っていませんか?
大事なことなので何度もいいますが、かかりつけの産婦人科医に確認はマスト、そのあとは自分の体調をしっかり観察しながらほかの運動をやってみてもいいかもしれません。
アクティブな妊婦におすすめの運動はこちらをご覧ください。

体調に合わせたウォーキングで妊婦ライフを快適に!
ウォーキングは手軽に始められますし、特に運動をあまりしてこなかった妊婦にとってオススメの運動です。
ご紹介した6つのポイントをしっかり意識してウォーキングを始めましょう。
1番大事なのは自分の体と胎児です。
胎児も含めて自分の体調をしっかりと観察し、ウォーキングで適度に運動をして快適な妊婦ライフを過ごしましょう。