ケトジェニック食事法とは?
ダイエットや健康的な体を目指す人であれば、「ケトジェニック」を知っている方も多いでしょう。
糖質制限を行いつつ、脂質やタンパク質を多く摂取することが推奨されるダイエット向けの食事方法です。
「健康にもなれる!」とセレブたちにも人気のダイエット方法ですが、きちんと自分の体内環境や栄養を調べる必要があり、難しいという点も。
けれど、“ルール”さえ分かってしまえば、コンビニなどの市販食品でも実行することは可能。
今回は初心者の人でもわかりやすいケトジェニックの方法をご紹介します。
ケトジェニック食事法をおさらい!
ケトジェニック食事法は、いわゆる“糖質制限ダイエット”の一種。
ほかの糖質制限とケトジェニック食事法の違いは、タンパク質と脂質の摂取量にあります。
特にタンパク質の摂取を多く推奨していることが特徴的。
名前に付けられた「ケトジェニック」の語源は、人間の体のなかで作られるエネルギーのひとつ「ケトン体」から由来したもの。
元来、人間の3大栄養素は「糖質」「タンパク質」「脂質」といわれていますが、特に体のエネルギーとして使われるのは「糖質」からできたブドウ糖。
このブドウ糖は、ふだん食事から摂取していますが、一定の量を超えると中性脂肪として蓄えられます。
実は糖質制限を行い一定期間ブドウ糖を摂取せずにいると、体内ではブドウ糖の代わりになるエネルギーを生成。
それが先ほどご紹介した「ケトン体」というエネルギーです。
このケトン体は体脂肪や筋肉を燃焼させて作られるエネルギーでありながら、ブドウ糖のように中性脂肪には変化しません。
そのためブドウ糖の代わりにケトン体を活用する、ケトジェニック食事法は減量目的のみならず、メタボ予防や健康対策にもぴったりな方法といえるのです。
痩せるだけじゃない!美容・健康効果も叶えるケトジェニックのメリット
痩せるだけでなく、健康にもよいと話題のケトジェニックダイエットですが、美容にもメリットがあるのはご存知ですか。
タンパク質を多く摂取するケトジェニックならではの見た目の変化・効果は以下の通り。
見た目の変化
-
- 美肌効果
- 毛髪増量
- むくみ改善
- 太りにくくなる
- 健康的に痩せられる
など
タンパク質不足で現れる肌荒れやガサガサ肌へのアプローチによる美肌効果、毛髪のハリやコシ、量を増やすといった美髪効果を叶えます。
またタンパク質不足によるむくみ解消の効果も期待できるのは、タンパク質を多く摂取するケトジェニック法ならでは。
そして、見た目だけでなく、ケトジェニック食事法は体内にも変化をもたらします。
体内での変化
-
- 老化防止
- 疲れにくくなる
- メタボ予防
- 冷え性改善
など
「タンパク質を多く摂取する」というのがケトジェニック食事法のポイントのひとつですが、理由として筋肉量を落とさないというのがあります。
これはケトン体を生成する際に体脂肪だけ燃焼されればよいのですが、筋肉も燃焼してしまうのでその分、食事でカバーする必要があるからです。
また筋肉量があればあるほど、太りにくくなるので、ケトジェニック食事法では適度な運動も推奨されています。
筋肉をつけたまま、または筋肉が増えたことにより疲れにくくなり、ケトン体生成による体脂肪燃焼でメタボ予防に。
エイジングケアの効果*も期待されています。
*参考元:燃焼系の身体へ変身!? 注目のケトン体ダイエットとは
実行する前に抑えておきたい、ケトジェニックのデメリット
いいことづくしのケトジェニックですが、食べれる食材とそうでない食材の線引きがはっきりしており、継続が難しいというデメリットも。
摂取すべき栄養量も厳格に定められているため、なかなかマニュアル通りに実行しにくいというのがあります。
そして、基本的にケトジェニックは、健康な人向けのダイエット方法。
現在、闘病中の人や妊娠をしている女性、成長期の子供にはおすすめできません。
また健康診断に引っかかっている人や、持病、普段から何かしら不調のある人も要注意。
医師に実践しても問題ないか確認、定期的に通院をするなど必ずプロの意見を聞くようにしましょう。
不向きな人の特徴
- 妊娠中の人、成長期の子供
- 腎、肝機能が低下している人
- 尿酸値が高い人
- 糖尿病で現在治療中の人
元々ケトジェニック食事法は、てんかんの治療法として活用されてきたという歴史があり、医師や専門家のなかには、病気以外の目的で行うのを推奨しないという意見もあります。
実行する際には、健康体の人でも支障はないか医師に相談、定期的に健康チェックを受けに通院するといった対策をとると安心です。
糖質のある食事からケトン体が増える体質へ
実際にケトジェニック食事法をはじめようと思ったら、まずは期間を設定しましょう。
初心者であれば2週間を目安に、すでに糖質制限に慣れている人でも1ヶ月を目安に予定を組むのがベター。
どんなダイエット方法でも同じことですが、自分を追い詰めすぎず無理なく行うのが成功の秘訣。
そして1日のスケジュールのなかには、30分程の息の上がらない程度の運動を取り入れて。
実は筋トレや走り込みといったハードな運動より、エネルギーであるケトン体を消費するためには、持久力を必要とする運動が有効なのです。
ケトン体の生成・消費を繰り返し、ケトン体の合成回路をどんどん回していきましょう。
おすすめの運動
- ジョギング
- ウォーキング
- ヨガなど
そもそも筋肉量が少ないという人は、下記の手軽に自宅で行える筋トレやケア方法をチェックしてみて。
ケトジェニック食事法をする際の注意点
注意点として食事内容はもちろんですが、体組成計を使って定期的に体内の経過観察を行うようにしましょう。
これは先ほども書いた通り、ケトン体は体脂肪だけでなく筋肉も燃焼させてしまうからです。
そうならないために体組成計で現在の体脂肪を測ったら、「今の体重(kg)-体脂肪量(kg)」を算出してみて。
この算出した数字は除脂肪体重というもので、文字通り脂肪以外の筋肉や骨量といった重さのこと。
なので、もし除脂肪体重が減っていたら、体脂肪でなく筋肉を燃焼させてケトン体が作られているということになります。
この状態になってしまっていたらタンパク質やほかの栄養不足、または運動量不足の可能性があるので見直すきっかけにしましょう。
体組成計は、市販の体重計の機能に付いていることも多いので、家に体重計がある人はまずは体組成計が測れるか確認を。
また最近では体組成計機能付きでもリーズナブルな価格の体重計も多く発売されており、もっていない人はこの機会に購入するのもアリ。
なかには体脂肪率しか表示されないタイプもあるので、その場合は「体重(kg)×体脂肪率(%)」で計算すると体脂肪量を算出することができます。
おすすめ!体組成計機能付き体重計
オムロン「体重・体組成計 カラダスキャン」は、置き場所に困らない厚さ28ミリの薄型体重計。
体重から体脂肪率、骨格筋率などを測定することができます。
有名メーカーの製品ながら安価で買えるというのもうれしいポイント。
自動でオンオフが切り替えられる、ZENLO「体重計」。
Bluetooth対応でスマホで体型管理できるのが魅力的な製品です。
さらに除脂肪体重を測ることも可能で、面倒な計算もなし。
リーズナブルで高性能な体重計を手に入れることができます。
食事量やどんな食材を選べばいい?
準備が整ったら、実際にケトジェニック食事法の食材の選び方や量をチェックしていきましょう。
選び方のポイントとしては、「糖質」「タンパク質」「食物繊維・ミネラル」に焦点を当てて。
糖質の場合、1日の総摂取エネルギー量の5%未満の量であれば食べてもOK。*
農林水産省のデータで、普段あまり運動をしない成人女性の総摂取エネルギー量は、およそ1400~2000kcalほど。
例えば2000kcalで計算をすると、1日100g未満であれば糖質を含むごはんやパスタといった食材を食べてもよいということになります。
ですが、茶碗1杯は約150gほどになるので、実際に盛り付けると茶碗半分以下ということに。
主食以外でも糖質を摂取してしまうことも十分に考えられるので、全体のバランスをみた上で主食を食べるかを決めた方がよいですね。
*参考元:海外の“栄養ウェビナー”で話題に 今、欧米アスリートが注目する2つの食事法
タンパク質の場合
タンパク質は体重1kgあたり1.2〜1.6g分の量*を摂取するよう心がけて。
厚生労働省が定めるタンパク質の摂取量では、成人男性で1日60g、成人女性で1日50gを推奨。
ケトジェニック食事法では体重50kgの女性の場合、1.2gで計算すると1日60gになるので厚生労働省の推奨量より多い量を摂取することになります。
*参考元:今話題のケトジェニックダイエットとは?
食物繊維・ミネラルそのほか
次に食物繊維を含む食材、青魚などに含まれるオメガ3脂肪酸を含む食材、海藻や納豆に含まれるミネラルを含む食材を意識して選びましょう。
食物繊維は1日20g〜30gほど、オメガ3脂肪酸は1日2g*摂取するようにしましょう。
さらに、つい忘れがちなミネラルは、不足するとイライラや頭痛といった不調の原因にもなるので合わせて摂取するとGOOD。
これらの栄養素をとる際は、一度の食事で一気に摂取するより、分けて食べたほうが吸収率が上がるので毎食バランスよく食べてみて。
そして◯g以上と書きましたが、摂取のしすぎも体に毒。目安の数字に比べあまり多く取りすぎないよう気をつけてくださいね。
*参考元:《正しく糖質制限 −ケトジェニックダイエット 実践編−》
食べてもOK!食材一覧表
タンパク質
- 牛、豚、鶏肉
- まぐろなど魚類
- 卵や豆腐、納豆など
タンパク質は「動物性」「植物性」どちらでも問題ありません。
食事で十分に取れなさそうな場合は、おからパウダーで増したり、ドリンクを豆乳に変えるなどしても◎。
食物繊維
- きのこ類
- アボカド
- アーモンドなど
食物繊維を摂取するときは、「水溶性」「不溶性」問わずどちらでもOK。
アーモンドといったナッツ類はなるべく素焼き仕上げの製品を選びましょう。
オメガ3脂肪酸
- いわし、さんま、さば
- 牡蠣、ムール貝、カニ
- あまに油、えごま油など
オメガ3脂肪酸だけでなく、健康成分DHA・EPAが豊富に摂取できる青魚をなるべく摂取するのがベスト。
食材を調達できないときの代用にあまに油やえごま油を使うなど、状況に応じて使い分けてみて。
ミネラル
- 生わかめ、アボカド、たけのこ(カリウム)
- いわし、油揚げ、小松菜(カルシウム)
- アーモンドなど種実類、ほうれん草、さば(マグネシウム)
より健康的に行うなら「カリウム」「カルシウム」「マグネシウム」以外にも、亜鉛といったミネラルも積極的にとっていきたいところ。
メジャーな牡蠣をはじめ、卵やアーモンド、納豆からも摂取することができます。
期間中はなるべく避けて!NG食材一覧表
主食食材
- 白米
- パスタ、うどん、そばなどの麺類
- パン、クッキーなど
もちろん、規程の範囲であれば食べても問題はありません。
けれどスナック菓子といったお菓子類は当然NGなのでご注意を。
野菜・果実
- じゃがいも、さつまいまもなどのいも、根菜類
- 糖質の多い果実
- ドライフルーツ、カシューナッツなど
糖質の多い根菜類やいも類、果実はケトジェニック食事法中は控えましょう。
またナッツでもカシューナッツのような糖質の高い種類もあるので注意が必要です。
調味料・ドリンクそのほかの食材
- 牛乳、人工甘味料入り飲料全般
- ビール、日本酒などの醸造酒
- 砂糖、みりん、ケチャップ、市販のドレッシングなど糖質を含む調味料
お酒類はウィスキーや焼酎といった蒸留酒であればOK。
またワインも基本的にはNGですが、“辛口タイプ”であれば、飲んだり、調味料として使うことができます。
ケトジェニックが叶う簡単食事レシピ2選
自炊を行うにはどうしたら?と思う人も多いはず。
ここではケトジェニック食事法をサポートしてくれるレシピを2品ご紹介します。
自炊のポイントとして、主食を食べなくてもお腹いっぱいになるよう量を増やしたり、栄養を満遍なくとれるよう食材の種類を増やすとよいでしょう。
あさりとブロッコリーの白ワイン煮
材料(1人前)
・あさり(殻つき)…100g
・ブロッコリー…1/2房
・ミニトマト…5〜6個
・しめじ…1/2房
・白ワイン(辛口)…大さじ2
・塩こしょう…少々
・にんにく…1片
・エクストラヴァージン・オリーブオイル…少々
作り方
- 砂抜き済みのあさりの殻をこすりながら水で何度か洗う
- ブロッコリーは小房に切り分け、芯は硬い部分を剥きながら食べやすいサイズに切る
- しめじは小株に分け、石づきを切る。ミニトマトはヘタを取っておく
- にんにくは刻み、フライパンでオリーブオイルとともに炒める
- 香りがたってきたら、白ワイン、あさり、ブロッコリー、しめじをいれ、ふたをし中火で2分ほど蒸し煮にする
- トマトをいれ、塩こしょうをふり、再度ふたをし、あさりが開いたら完成
ビタミンB2やB12、鉄を含むあさりと、ビタミンCを含むブロッコリーの食べ合わせは、貧血予防にも抜群!
にんにくを加えることで食べ進みよく、満足感のある味わいに。
サーモンとナッツのパワーサラダ
材料(1人前)
・サーモン(刺身用)…65g
・素焼きアーモンド…4粒ほど
・レタス…30g
・ルッコラ…20g
・アボカド…1/2個
・レモン果汁…少々
・バルサミコ酢…大さじ3
作り方
- レタス、ルッコラは食べやすい大きさにちぎる
- アボカドも一口サイズほどに切り、1の材料とサーモンとともにボールへ入れる
- 素焼きアーモンドはお好みで砕き、2のボールに加える
- レモン果汁、バルサミコ酢をボールへ加え、まんべんなく混ぜ合わせ完成
サーモンや、アボカドといったオメガ3脂肪酸を含んだ食材をとりたいときに便利な一品。
付け合わせのルッコラにはβカロテンをはじめとする栄養素が豊富です。
特にビタミンCを多く含んでいることから美肌効果も期待ができ、美に気をかけたい人にもおすすめ。
コンビニでもケトジェニック食事法はできる?
コンビニ食でもしっかりと確認をすることで、ケトジェニック食事法を叶えることができます。
最近では「サラダ+こんにゃく麺」や「全粒粉パン」をはじめ、「ゆで卵」や「焼き魚」といったお惣菜も豊富。
サラダを買うときもNG食材のドレッシングをかけないといった工夫をすれば問題ありません。
時間が無いときはコンビニを活用するなど、無理なく実践しましょう。
ケトジェニック食事法で美しくヘルシーな生活を
ルールの多いケトジェニック食事法ですが、大事なのは健康に必要な栄養素をしっかりと摂取するということ。
これはほかのダイエット法を行うときでも意識しておきたいポイントですね。
実行する際は医師や専門家のアドバイスを受けつつ、正しい方法で美しくヘルシーな生活を目指してみて。